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サッカーと身体操作の話☆

ディープインパクト × 走法考察②『後肢の柔軟性』

どもー。

きたむーです(^_^)

 

今日は前回の続きです!

  

ktmcho11.hatenablog.com

 

※私はディープインパクトの走法の特徴は『水平軌道でロスなく前に進める走り』だと考えています。

ですので、今回はその前提のもと、ディープはなぜ上下動の少ない走りができるのかを考察していきたいと思います。

 

🔷目次🔷

  

水平移動(ストライド走法)を生み出す要素

ディープの身体的な特徴としてよく言われていたのが『後肢(後ろ脚)』が非常に柔らかい事です。

そしてもう1つ。

これは有名かもしれませんが『ディープは蹄鉄の減りが他の馬に比べて遅かった』という事です。

 

今回は『後肢』の点からディープの走法を考察します。

 

後肢の柔軟性

ディープの飛ぶ走法を語る上で外せないのが『後肢の柔軟性』です。

 

後肢は、地面を蹴って脚を後ろに送った後、そこから脚を前に持ってきて着地します。

 

ディープの後肢は柔らかいため、脚を前に持っていって着地に入る際に、他馬よりも『後肢をより前に着地する』事ができます。

 

これは人間でいえば、地面を蹴って足が浮いた後、そこから足を前に持ってくる動きです。いわゆる『もも上げ』の動きが柔らかく、高く前へ足が出ます。

 

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陸上競技においても、ももを高く上げる事でストライドが伸びてくるのがセオリーです。

 

ですのでディープは、他の馬よりも、後肢をより前に出せるため、ストライドの大きい走りになっていると言えます。

 

後肢が柔らかい本質は、以下のチーターの走り方の動画が非常に分かりやすいです。

解説は動画の1分あたりから↓

 

 
チーターの走り分析 - YouTube

 

チーターの走りを見て頂ければ、後肢がグーんと伸びるように前に出ているのが分かりますよね。

これがもし後肢が前に出るのが浅ければ、脚は早くに着地してしまい、ストライドも短くなります

後肢が前に出る事が、ストライドを大きくさせる意味でいかに重要かという事ですね(^^)

 

また、動画の中では、腰と背中の伸びが『バネ』に繋がっていると解説されています。

 

背骨から曲げる

ここで今回のテーマを覆すような話になりますが(^^;

ディープの後肢の柔軟性というのは、そこまで重要な要素ではないと私は考えています。

 

というのも、背骨をバネのように使う事で、必然的に後肢が前に出てくる形になるからです。

 

つまり、脚がついている股関節が柔らかいのではなく、

そもそも、股関節よりも上の部分である背骨や腰から曲げているから、末端である脚が前に来るという事です。

 

もう少し分かりやすく言いますと、

先程もも上げの画像を載せましたが、あの状態から膝とお腹をくっ付けにいくとします。

 

この時に『足だけ』を持ち上げて、限界までお腹に近づけます。↓

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・・・私はここが限界でした。汗

 

次に、今度はそこから『腰や背骨を曲げて』上体側から足側に近づけに行きます。↓

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どうでしょう?

こんな私でもくっつきました。笑

 

この2つに股関節の柔軟性、つまり足の柔らかさに差はありません

 

股関節の深い屈曲でお腹にくっついたのではなく、背骨や腰を折り目にして上体を畳む事でくっついたからです。

 

もちろん、ディープの後肢は普通の競走馬よりも柔らかいのだと思います。

 

ですが、ディープと他の馬の走法の差は、後肢の柔軟性というよりは、

背骨をより曲げて使っているか否かの差、と捉えた方が正確だというが私の考えです。

 

背骨の『うねり』

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では背骨を曲げる走りとはどんな走法か。

それは先程『バネ』というワードが出ましたが『背骨をうねらせる』事だと私は思います。

簡単に言うと『尺取り虫』です。笑

 

背骨を尺取り虫のようにしっかり曲げて、そしてしっかり伸ばし『弧に曲げた物が直線に戻るうねりのバネ』にする事が重要です。

しっかり曲げた時に 解放して伸ばしたい という力が蓄えられるのです。

 

皆さんもご存知かもしれませんが、筋肉には伸長反射という、筋肉が伸ばされた時に縮もうとする性質があります。

この性質が働き、背骨を曲げた時には、背骨を伸ばすために背中の筋肉が縮もうとします。

これにより、曲がった背骨が伸びていく、というバネが起こります。

 

これは逆も同じで、背骨が伸ばされた時に、今度は背骨を曲げる筋肉(人間でいえば腹筋)が伸長反射によって縮もうとします

ですので、背骨をうねらせて伸ばした後も、今度は伸長反射によって伸びた背骨が曲げるように戻されます。

 

➡️ディープの後肢がグーっと伸びて前に出る動きは、背骨や腰が伸びきった状態から、『伸長反射によって曲がり戻されていく時に付随している動き』という事になります。

 

動作を『主導しない』事が自動化になる

この曲げ伸ばしの自動化を1つのサイクルとして、背骨のバネが成立するのです。

この動作のスゴい所は、背骨が曲がる動作、伸びる動作、どちらも頭で考えて主導的に起こした動作ではなく、筋肉の性質に任せて起こる動作だという事です。

 

私は、体の中で背骨以上にうねりを効率良く末端まで伝えられる部分はないと思っています。

体の幹である背骨の動きをバネとして自動化する事で、それに付随する手足も、背骨の動きに同調した最も効率の良い動きになる。

 

だからディープの走りには無駄がなく、ロスのない走りと言われていたのだと思います。

 

まとめ

今回この考察をしてみて、この考え方は馬や四足歩行の動物にだけ当てはまるのではなく、二足歩行の人間にも当てはめる事ができると感じています。

 

実際、私自身スプリント練習をする中で、二本足という違いはありますが、背骨を扱う感覚を感じる事ができています。

背骨は人間にとっても、運動パフォーマンスのアップに繋がる重要なファクターだと、ディープに教えて貰った気がします(^_^)

 

というわけで、今回はディープの後肢の柔軟性についてのお話でした。

 

次回は『蹄鉄』についての考察です。

よければご覧ください!

 

ではまた⏩️👍️