どもー。
きたむーです(^^)
というわけで、ストップ動作の最終回です(長編になってしまった。笑)
前回の記事⬇
前回、体が傾くことで自分の体重が流れ出し、体を動かすという事をお話しました。
今回はそれを踏まえて、ストップ動作①でも少し触れたクリロナターンの考察に戻りたいと思います。
前回の体が傾く話は、自分の体が止まった状態での話です。
止まった状態(ほとんど速度が出ていない)というのは、自身の体に何も外力(遠心力や走ることでかかる推進力)がかかっていない状態です。
ですので、体を傾けて自分の体重を流せば、そのまますぐに体は動いてくれます(ターンしてくれます)
これがサッカーのスプリント中に方向転換をするとなると、それまでに走っていた自分の速度にブレーキをかけて減速させる必要があります。
なので、止まった状態であればプレーの始動スピード、スプリント中であればブレーキといった具合に、体を傾ける力の使途は変わりますが、本質的には同じ事になります。
①通常のストップ動作
体を止めるブレーキというのは、自分が走って出している速度の力を削ぐわけですが、これが通常のストップ動作であれば、地面に足を着いて下半身の筋力を使ってブレーキをかけます。
筋力を使って速度の力を相殺しきれた時に、体は完全にストップすることになります。
「体が出している速度 ➖ 下半身の筋力発揮 ⇒ ストップ」
②体を傾けるストップ動作
次に、体を傾けるストップ動作は、体を傾けることで体重が傾けた方向へ流れ出します。この「体を傾けて体重が流れる力」がブレーキになります。
自分がスプリントして出している推進力とは反対方向に自分自身の体重を傾けることで、体重が逆流する力となり、推進力と相殺する事でストップ動作になります。
「自分の推進力(速度) ◀ VS ▶ 自分の体重が傾く力」で速度を打ち消す
いわゆるクリロナターンは、小さくジャンプしながらタッチするわけですが、この小さなジャンプをしてタッチに入る時からすでにブレーキがかかります。
体を傾けた時の力というのは、足が地面に着いている、着いていないに関わらず、体さえ傾けば絶えず「体を傾けたことによって体が倒れる力」がかかり続けます。
これがこの動作の最大の利点であり、つまりは、体を傾ける姿勢さえ作れば、足を地面に着いている時、着いていない時、両方のタイミングで体をストップさせるブレーキの力がかかり続けます。
足の筋力発揮による通常のストップ動作は、足を地面に着いた時にしかブレーキをかけられないのに対し、
体を傾けるストップ動作は、それにプラスして足が浮いている時にもブレーキがかかっているので、トータルで長くブレーキをかけられます。
長くブレーキを踏んでいられるということは、それだけトータルのブレーキ力も大きくなります。
ですので、ロナウドはこのターンを使うことで速い切り返しができ、DFを振り切る事ができていたのだと思います。
「体が出している速度 ➖ 体が傾いて倒れる力 ⇒ ストップ」
最後に
今回解説した体を傾けることによる相殺動作は、一流の選手だけがやっているのではなく、普通にスポーツをしている多くの人も無意識で瞬間的にやっています。
ですが、一流選手のように有効的に使えていない場合が多く、筋力のみでアジリティ動作をしようとしてしまうため、筋力の強さがそのまま動作の速さ・強さとして現れ、結果的に身体能力の高い選手にかなわない、という事になるのだと思います。
自身の体重を傾ける力は非常に大きな力を持っており、筋力的に劣る選手にとっては強い味方となる力です。
ネイマールを始め、身体的に細身なのに「キレ・速さ」を持つ選手は、筋力にプラスアルファしてこの力を有効的に使えている代表例だと思います。
あくまでも私の価値観になりますが、ウェイトトレーニングや筋力強化が全盛の時代で、筋力だけを力を測る指標にしてしまうと、
せっかくしなやかな動作・キレのある動作で動けていても、どこどこの筋肉が使えていないからダメ、と
「筋力発揮できていない動作は、たとえ速かったり強かったとしてもダメ」という事になりかねません。
これは本末転倒ではないでしょうか。
皆さんが自分自身でやってて楽しい動き、心地よい動き、そういった動きの中には、今回のようなプラスアルファの力を使えている場合も多々あると思います。
ですので、この力を「筋力とは異なる自分の力」として認め、無意識ではなく意識的に動作として扱えるようになれば、さらなるパフォーマンスのアップに繋がると私は考えています。
ということで、長い3部作となってしまいましたが^^;
読んでいただきありがとうございました。
ではまた、次回に☆